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転機

 32年間、途中で途切れたこともあるけど、原則的に通い続けた床屋を見限らなければならない時がやってきた。

 常連客だから…という甘えが床屋の方にはあった。

 本来、「電話で行くと言った客よりも、来てくれた客が優先」というスタンスを保っていたところだったので、敢えて電話をしないで出かけることに決めていたのだけど…。

 先日、入るやいなや、こういうことを言われた。
「14時半にお客さんが入っていて、その後ももう1人いるから、1時間半位かかる」

 さすがに、これには呆れてモノが言えなかった。というか、言うことも無駄だと思った。で、時計を見たら…14時27分である。半の客ならあと3分だ。普通、こういうところに予約を入れているのであれば来ていなければいけない時間である。終わった客と話しをしているところに入って行ってそれだもの…。

 教員という職業柄、忙しい時期にさしかかっていて、1時間だって無駄にしたくないのに、居もしない先客とやらのために、1時間半もぶらぶらしているわけには行かない。

「あ、じゃあ来月にでも来ます…場合によっては他を当たりますから良いです」

という一言を言ってその場を立ち去った。

 この「場合によっては」という言葉が最後の言葉になるとは、ゆめゆめ思っていないでしょうけど。この瞬間が「見限った」という瞬間。転機なんですよね…。

 そう、この時に思ったことだけど…。
 人って誰かにとって「福の神」だったりするんですよね。自分にとっての福の神って誰だかということをしっかり認識しておかないと大変なことになる。
 どうも、その床屋にとって、私は福の神だったようです。
 私が足しげく通っていたころ、儲かっていましたね…。で、私が事情あって、ちょっと遠のいたころに、やれ病気だとか客の入りが余り良くないだとかという話しがありました。で、その事情が無くなってまた通い始めるようになったら、良くなって…。
 ということは…、あの床屋、閉店が近いですな。
(閉店要因を抱えているのは事実だけど)

 他にも、「あれ?私が福の神だったのでは?」と思ったことが何度もあります。

 以前住んでいた所の近くにコンビニがあったのですが、そこに足しげく通っていました…。相当儲かったようで、設けで建物をリニューアルして新しく…という話しまで聞こえてきました。建替えでフランチャイズが変わって程なく、公共料金を払おうと思って立ち寄りました…。
 そしたら、18歳位の若いアルバイトの女の子が…
「料金支払いはやってません」
と、愛想もなく言ってきた。その若い子は初めてだったけど…。
 そんなもんだから、流石に私は言ってしまいました。
「あ、ならもう来ないから」

 その店は程なく(というか、モノの数ヶ月で)閉店を余儀なくされてしまいました。あれは私がどうたらというわけでもないと思いますが、あっけない仕舞い方でした。しばらく資材が置きっぱなしだったので、あれは倒産ですね…。

 他にも私に「なら、いい。結構だ!」とか「じゃ、頼まない」というせりふを言わしめた所は例外なく店を閉めています。それも3ヶ月〜1年程度の短い期間にね。そういう所だから閉店してしまうとも取れるけど、友人に言わせれば「何故?」というところも混じっていて…。

 気付かないけど、人様の転機というものを教えていたんだな…とも思います。自分で気付けば万万歳ですけど。

 今回の件、床屋さんの末路が脳裏に浮かんだので、ちょっと寂しい気がします…。でも、仕方ないですね。

jupiterの投稿(22:18:45-2007-07-10) - カテゴリ: Main

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